
【検証】6月の「懲罰委」と9月の「政倫審」──なぜ議長のミスは袋叩きで、議長代行の不祥事は「3年前だから不問」なのか?

こんにちは、鈴木やすひろです。
朝夕はようやく涼風が吹き始め、秋の気配が漂ってまいりました。
とはいえ、秋の台風シーズンということもあり、急な風雨など油断ならない空模様が続いております。皆様の地域では影響などございませんでしょうか。どうぞ安全と体調にはくれぐれもお気をつけください。
さて、前回に引き続き、本日も感情論は抜きにして、議会に転がっている「公の記録」と「日付」を淡々と見比べてみたいと思います。
怒鳴る必要なんて1ミリもありません。なぜなら、事実をカレンダー通りに並べるだけで、どんな喜劇役者も敵わない見事な「ブーメラン・コント」が完成してしまうからです。
CONTENTS
【佐野市議会・政倫審】朝日新聞が報じた「なぜ3年前のことを」「報復か」という見出しの違和感
まず、市民の皆様にぜひご覧いただきたい新聞記事がございます。
9月4日の市議会定例会開会直前、議員控室へ突如としてゲリラ配布された「消防団幹部名義の意見書」。その文書をめぐって審査の場が大紛糾した「第2回 政治倫理審査特別委員会」が開かれたのが、9月8日のことでした。
そして、そのまさに翌朝──9月9日の早朝6時00分(朝刊配達とほぼ同時刻)、大手全国紙である朝日新聞(上嶋紀雄記者署名)の紙面およびデジタル版に、待ってましたとばかりにこのような見出しが躍り出たのです。
「なぜ3年前のことを」「報復か」 対立した市議の言動めぐり政倫審
(出典:朝日新聞デジタル 2026年9月9日 6:00配信/上嶋紀雄 記者)
https://www.asahi.com/articles/ASV983T84V98UUHB001M.html
朝の6時ジャストという、市民がまだ目覚めたばかりの清々しい時間帯に、あの9月4日開会直前の意見書に並んでいた、審査される側にとって「これ以上ない都合の良い盾」となるフレーズそのまんまが、全国ネットに電撃デリバリーされたわけでございます。
これには、真面目に制度の手続きを進めていた当事者もひっくり返りました。
議会で一番几帳面な早川議員が自身のSNSで明かしたところによれば、事前にこの上嶋記者から約1時間もガッツリ取材を受け、分単位の記録をもとに「制度の正常化のためにやっている」と熱弁を振るい、記者からも「論理的には理解しました」と納得してもらっていたはずでした。
ところが、翌朝に出てきた記事を開いてみれば、1時間かけて説明した論理的な内容は綺麗サッパリ削ぎ落とされ、紙面にはデカデカと「3年前」「報復か」という審査される側の都合の良いフレーズだけが躍るという、絵に描いたようなメディアスピン。
あまりの落差に、早川議員が「なぜこのような構成にしたのか」と記者に尋ねたところ、返ってきた答えはなんと「記事の内容が全てです」という、問答無用のゼロ回答・門前払いだったそうでございます。
上が「餅」と言えば、下は即座に「つき手」となって威勢よく合いの手を入れる、実に実に見事な “synchronized 忖度” でございます。
新聞社側がそう書きたくなる気持ちも、分からなくはありません。「政治家の足の引っ張り合い」と片付けたほうが、記事としては手離れが良く、ラクだからです。
ですが、一人の市民として、元議員として、私は猛烈に首を傾げざるを得ませんでした。
「……いやいや、ちょっと待ってくださいよ」と。
時計の針をほんの3ヶ月ほど巻き戻してみるだけで、そこには目を疑うような「超ド級のダブルスタンダード(二重基準)」が転がっているのです。
【2026年6月・懲罰特別委】菅原議長の黒塗りミスには「職責が重い!辞任せよ」と極刑を叫んだ「市長お守り隊」の皆様
カレンダーを、今年2026年の「6月定例会」に戻してみましょう……いや、鑑識員として正確を期すならば、時計の針をもう2ヶ月、「4月下旬」まで巻き戻さねばなりません。
そもそも、なぜ菅原議長がここまで執拗に狙い撃ちにされたのか。市民の皆様、その「発端」を覚えていらっしゃいますでしょうか。
百条委員会の委員長として、金子市長の不透明な市政運営や偽証疑惑を厳格に調査し、当時の川嶋議長による「地方自治法第100条に基づく刑事告発」を毅然と主導したのが、ほかならぬ菅原議員(現・議長)でした。ある種の方々にとって、議長がどれほど眩しく、そしてちょっぴり煙たい存在であったかは、想像に難くありません。
もちろん、市長や「お守り隊」の皆様がそんな邪推されるようなことをお考えになるはずもございませんが(笑)……まるでサスペンスドラマの脚本のように、刑事告発から約1ヶ月後、夜な夜な熱心なパトロールを重ねてようやく見つけ出してこられたのが、「HPに掲載された百条委資料の中で、わずか1名の黒塗り漏れ(端末操作で閲覧可能な過失)」という事務的ミスでございました。
もちろん、個人情報のマスキング漏れは事務的なミスであり、慎重であるべきでした。議長自身もその過失を認め、公式に謝罪を行っています。
しかし、獲物を見つけた彼らの動きは電光石火でした。
ゴールデンウィーク直前の4月28日朝、まず朝日新聞(上嶋記者)が特大の見出しで口火を切ります。
百条委の秘密会資料を議長がHP掲載 黒塗り閲覧可に 栃木・佐野市
(出典:朝日新聞デジタル 2026年4月28日 7:45配信/上嶋紀雄 記者)
https://www.asahi.com/articles/ASV4W3R14V4WUUHB005M.html
そして翌4月29日、今度は地元の下野新聞が足並みを揃えて追撃報道をぶち込みます。
佐野市議長、百条委の秘密会資料を自身のHPに掲載 端末操作で黒塗りの個人名閲覧可能に 市議会で対応協議
(出典:下野新聞SOON 2026年4月29日 11:30配信)
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/1336356
市長の本丸の疑惑を覆い隠すための、絵に描いたような「メディアを使ったスピン(論点そらし)報道」。ここから、執拗な菅原議長包囲網の火蓋が切って落とされたのです。
そして迎えた6月定例会。
「市長お守り隊」議員の皆様の剣幕たるや、まさに凄まじいものがありました。
- 「市民の信用を著しく失墜させた!」
- 「議長としての職責は極めて重い!」
- 「秘密漏洩であり、議長失格!即刻辞任せよ!」
まるで国家機密を故意に売り飛ばした大罪人であるかのように議場は沸き返り、わざわざ懲罰特別委員会まで立ち上げて、計3回(実質的な審議は2回)にわたって徹底的な「議長袋叩き」を行いました。
そして、この「市長お守り隊」の猛攻にピタリと足並みを揃え、見事なタイミングで援護射撃を連発したのが、先ほどと同じ大手紙による連続報道でした。
まず、6月5日に懲罰動議が出されて特別委員会が設置された、まさにその翌朝──6月6日の早朝6時30分、待ってましたとばかりに先制パンチの記事が投下されます。
議長の懲罰委設置 百条委資料HP掲載「秘密漏洩」審議 栃木・佐野
(出典:朝日新聞デジタル 2026年6月6日 6:30配信/上嶋紀雄 記者)
https://www.asahi.com/articles/ASV653R7LV65UUHB004M.html
(……皆様、お気づきでしょうか。9月の政倫審でも「9月8日委員会の翌朝6時00分」に見事なデリバリーがございましたが、6月の時もまったく同じ「翌朝の6時台」という、スイスの高級時計のように正確無比な早朝デリバリーでございます笑)
続いて、委員会内で議論が紛糾している最中の6月10日朝、すかさず外堀を埋める記事が投下されます。
懲罰委の委員間で意見対立 百条委秘密会の資料掲載巡り 栃木・佐野
(出典:朝日新聞デジタル 2026年6月10日 7:00配信/上嶋紀雄 記者)
https://www.asahi.com/articles/ASV693Q36V69UUHB004M.html
そして圧巻だったのは、6月16日の「電撃の連弾」でございます。市民の皆様、この【配信時間】の並びに、ぜひご注目ください。
「信じていたのに」 市議会の秘密会で証言した男性、許せないのは
(出典:朝日新聞デジタル 2026年6月16日 11:30配信/上嶋紀雄 記者)
https://www.asahi.com/articles/ASV6H3VXZV6HUUHB006M.html議長に「懲罰を科さない」 栃木・佐野市議会の特別委が決定
(出典:朝日新聞デジタル 2026年6月16日 11:31配信/上嶋紀雄 記者)
https://www.asahi.com/articles/ASV6H439DV6HUUHB005M.html
……皆様、お気づきになられましたでしょうか。
11時30分に「信じていたのに……許せない」という匿名の証言男性インタビューが配信され、なんとそのわずか【1分後】の11時31分に、「特別委が議長に懲罰を科さない決定」という速報記事が配信されているのです。
1分差ですよ、1分差!!(笑)
カップラーメンにお湯を注いで待つ時間よりも短い、驚異のウルトラ神速コンボでございます。
特別委員会が法的な懲罰要件に当たらないとして「懲罰なし(謝罪対応)」へと傾き、落着しようとしたまさにその瞬間を狙いすまし、事前にガッツリ仕込んでおいた「関係者のお怒りインタビュー」をぶつけて議長を最後まで袋叩きにする……。
お偉方の「ヨイ!」という掛け声に対し、一切のタイムラグなく「ショウ!」と杵を振り下ろす、伝統芸能『よいしょの餅つき』を見ているかのようでございます。
権力とメディアによる、息ぴったりの『二人三脚・転倒なしのギネス記録達成』と申し上げるべきか、あまりにも足並みを揃えすぎて、もはや一本の巨大な大根のようになっている二人三脚に、私はただただ感服するばかりでございました。
あの時の彼らの主張は極めてシンプルでした。
「どんな過失であれ、役職にある議員がミスを犯したら、一切妥協せず厳罰に処すべきだ!」
……実に立派で、厳格なご意見でございます。
【2026年9月・政倫審】小倉議員の暴言・暴力疑惑には「3年前だから不問」「家庭がある」と激甘擁護
では、そのわずか3ヶ月後──現在開かれている「9月定例会」をご覧ください。
審査の対象となっているのは、現職の小倉議員です。
当時、小倉議員はまさに消防や危機管理などを所管する「総務常任委員会」の委員長を務めており、しかもこの席には、佐野市議会の公的な顔──すなわち佐野市議会の「議長代行」という極めて重く、大きな看板を背負って出席していました。
事案は、その公的な場である消防団の研修懇親会において、関係者に対して暴言や暴力に及んだとされる疑惑です。単なる一議員がプライベートで飲んでいたわけではなく、まさに「議会の顔」として出席していたわけです。もし事実であれば、過失の黒塗りミスどころではない、市民の安全を守る消防団の誇りと信頼を根底から踏みにじる極めて深刻な問題です。
さあ、6月にあれほど「職責の重さ!」「議員の規範!」と正義の炎を燃やしていた方々は、さぞかし今回も峻厳な態度で身内の襟を正すのだろうと、市民の誰もが思いました。
ところが、彼らの口から飛び出してきたのは、思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになる言葉の数々でした。
- 「なぜ3年も前の話を今さら蒸し返すのか」
- 「本人にも家庭や立場があるんだぞ」
- 「これは議長派による報復だ!」
……私は耳を疑いました。
他人のうっかりミスには顕微鏡を覗き込んで「職責が重いから議長を辞任しろ!」と迫った同じ口が、身内の暴言・暴力疑惑に対しては、「3年前だから水に流せ」「家庭があるから可哀想だ」と、突然マザー・テレサのような慈悲深さを発揮し始めたのです。
いやいや、ちょっと待ってください。
「家庭や立場がある」と言うのなら──
6月にたった1名の黒塗りミスで鬼の首を取ったように吊るし上げられ、不信任(議長辞任)まで迫られた菅原議長にだって、当然ながら守るべき「家庭」も「立場」もあったはずです。あの時、あなた方は議長の家庭や立場に、1ミリでも思いを馳せたことがありましたでしょうか?
それに、一部の政治家の思惑や圧力に巻き込まれている市役所の職員や、夜遅くまで地域を守っている消防団員の皆さん、そして私たち市民にだって、等しくそれぞれの「家庭」と「日々の立場(生活)」があるのです。
他人の過失には鬼の首を取ったように騒ぎ立て、身内の不祥事には望遠鏡を逆さに覗いて「何も見えない」と言い張る。
これほどあからさまで、これほど見事な「ご都合主義のブーメラン」を、私はこれまでの人生で見たことがありません。
【徹底比較】佐野市議会のダブルスタンダード──6月懲罰委(菅原議長)vs 9月政倫審(小倉議員)
あまりにも見事な手のひら返しですので、彼らの「芸術的なダブルスタンダード」を一目でわかる比較表にまとめてみました。
| 比較項目 | 👹 6月(菅原議長のうっかり過失) | 😇 9月(身内議員の暴力・パワハラ疑惑) |
|---|---|---|
| 対象者 | 菅原議長 | 小倉議員(議長代行・総務常任委員長) |
| 問われた事案 | 資料の黒塗り漏れ(過失・1名) | 消防団懇親会での暴力・暴言疑惑(公務出席) |
| 「市長お守り隊」のスタンス | 【鬼検事モード】他人のミスは有罪! | 【マザー・テレサ】身内の不祥事は無罪! |
| 飛び出した名言 | 「職責が極めて重い!即刻議長を辞任せよ!」 | 「3年も前の話だ!本人にも家庭がある!」 |
| メディアの動き | 下野・朝日「議長への怒り!」「懲罰なし遺憾」 | 朝日「なぜ3年前のことを」「報復か」 |
※注:驚くべきことに、どちらも同じ「市長お守り隊」の皆様によるご主張です。
議会屈指の制度派・早川貴光市議が「法規上まったく筋が通らない」と異議を唱える理由
この二重基準の凄まじさは、もはや「誰派」とか「派閥」といった小さな次元を完全に超えています。
佐野市議会で誰よりも数字や条例に厳格で、分単位のメモを残すほどの几帳面さで知られる早川貴光議員(未来の佐野を明るくする会)ですら、今回の「市長お守り隊」議員の理屈には強い違和感を抱き、自身のSNSで長大な論考を発表されています。
早川議員といえば、徹底的にロジカルで法規にうるさい(失礼!それだけ誠実で生真面目な!)議員さんですから、議会の中でまかり通ろうとしている「あまりにも筋の通らないご都合主義」をどうしても見過ごせなかったのでしょう。
ご本人の文章は、法律や過去の判例がびっしり詰まった大変な熱血・力作なのですが、少々几帳面で専門的すぎて、普通の方がスマホで読んだら3秒で白目を剥いて閉じかねない超大作です(笑)。
そこで、あの長大な論考から、どなたでも一目でわかる【本質中の本質】だけを3行にまとめました。
- 「当事者同士がどうあれ、議会のルール(条例)に違反したかどうかは別問題である」
- 「6月にあれだけ厳しい基準を振りかざしたのに、9月になったら急に『3年前だから不問』にするのは、法規上まったく筋が通らない」
- 「こんなご都合主義を許したら、佐野市議会の規範そのものが崩壊する」
いかがでしょうか。
日頃から条文やルールを誰よりも重んじる生真面目な議員さんだからこそ、「いくらなんでも、その言い逃れは法規上まったく筋が通らない」と頭を抱えているのです。
これを大手メディアのように「単なる派閥抗争」だの「報復劇」だのという言葉で片付けるのは、あまりにも現場の事実を見ていない、怠慢な見立てではないでしょうか。
結び:身内の特権を守る密室から、市民と現場を守る「自浄作用ある佐野市議会」へ
メディアが「報復か」と煽り、当事者たちが「昔のことだ」と逃げ回る中で、今まさに問われているのは、佐野市議会に「自浄作用(自分で自分の襟を正す力)」が残っているかどうかです。
自分たちに都合の悪い不祥事は「3年前だから」と闇に葬り、追及されたら「報復だ!」と被害者ヅラをして逃げ切る。
そんな悪しき前例を一度でも許してしまえば、割を食うのはいつも、理不尽な圧力に耐えている市の職員であり、現場で奮闘する消防団員であり、そして何より私たち佐野市民です。
市民の皆様。
政治家の耳触りの良い言い訳や、一部メディアの一方的なレッテル貼りに惑わされないでください。
見るべきものは、実にシンプルです。
「6月に彼らが言ったこと」と、「9月に彼らがやっていること」。
その二つを並べて見比べるだけで、誰がルールを守ろうとし、誰が自分たちの特権と身内を守ろうとしているのかは、誰の目にも明らかです。
佐野市議会が、一部の権力者のための密室ではなく、市民と現場を守る「まともな議会」へと変わっていけるのかどうか。
私たち市民の、静かで厳しい目が、今まさに試されています。
鈴木やすひろ

※本コラムは、佐野市議会の公式記録・中継映像、報道機関各社の公開記事、および公職にある議員各位による公の場での発信等の「客観的な公開情報」に基づき、一市民および元市議の立場から、市政の公正な運営と市民の知る権利に資する目的(公益目的)において論評・考察を行うものです。特定の個人・団体を誹謗中傷する意図は一切なく、公人としての職責や制度運用のあり方について建設的な言論・問題提起を行うことを主眼としております。
